2008年度のビジネスが本格的に動き出した。環境問題を主要テーマとする7月の洞爺湖サミットに向けて盛り上がる「グリーンITビジネス」、マイクロソフトのサーバーOSの登場で役者が揃った感のある「サーバー仮想化ビジネス」、「内部統制の強化」もITシステムに落とし込む実需のフェーズに入っている。
動画サービス急拡大でIT需要高まる
この3つは今期の三大キーワードだが、もうひとつ、忘れてはならないのが“動画”だ。今年に入って動画投稿サービスの競争が一段と激しさを増し、ユーザー数もうなぎのぼり。DVDと肩を並べる高精細な映像をつくりだす圧縮技術「H.264」方式を採用するサイトも増加し、高品質を好むユーザーの人気を博す。サーバーやネットワーク機器の需要も旺盛で、国内最大手のニコニコ動画はIT設備の増設で億円規模の投資を行う。
ネットの世界は動きが速く、動画投稿サービスを提供する主要プレーヤーのすみ分け現象がすでに起こりつつある。あと1年もすればおおよその形勢が固まるとの見方もあり、短期決戦の様相だ。
世界最大手でグーグル傘下のユーチューブは、初心者でも受け入れやすいコンテンツがメイン。これに対してニコニコ動画はアニメやゲーム色が濃く、日本ならではのユニークなサブカルチャーを真正面から受け止める。動画投稿が盛んなSNSサービス大手のマイスペースは今年に入って日本法人の経営体制を一新。歌手や演奏家、バンドなどのリアルなアーティストの呼び込みに力を入れる。ヤフーのマーケティング本部長などを経て、今年1月にマイスペーストップに就いた大蘿淳司社長は、「自らのプロフィールを明かしたうえでコミュニティを形成するSNSならではの特徴を動画投稿にも生かす」としている。
課題は、収益モデルをいかにつくるのかにある。ニコニコ動画はコミュニティを盛り上げるためにオリジナルのアニメコンテンツの制作に関わるなど、IT以外のコストもかさむ。それでも、「今はまだユーザーのすそ野を広げるフェーズ」(運営元のニワンゴ・杉本誠司社長)とし、親会社のドワンゴの携帯電話向けコンテンツのユーザー数と合わせて2009年度には直近の約2倍のユーザー数2000万人規模への拡大を目指す。
インターネット視聴率調査企業ネットレイティングスの昨年末の発表によれば、ユーチューブとニコニコ動画の両サイトの総利用時間は、在京・在阪の主要テレビ局11サイトの合計よりおよそ9倍も多い。テレビ局サイトの利用時間がほぼ横ばいなのに対して、動画投稿サイトは右肩上がりが続く。テレビ放送本体の視聴時間も食う勢いだ。
こうした動きに迅速に対応する大手SIerも出てきた。富士ソフトはデジタル映像制作にいち早く着手。最新のH.264圧縮技術にも貪欲に取り込む。
動画に関連したインフラ構築やデジタル技術の需要は着実に拡大している。ユーザー数増加に伴って収益モデルが見えてきた時点で、投資がより拡大する可能性も高い。ITリソースを大量に必要とする動画だけに、仮想化や省電力・グリーンIT技術を駆使して従来にはない低コスト、ハイパフォーマンスのシステムづくりが求められている。
チームラボと角川マーケ、アニメ動画への字幕付与サイト「kadoTV」をリリース
1月15日13時23分配信 japan.internet.com
チームラボは、2009年1月15日、角川マーケティングと協力し、情報大航海プロジェクトの一環事業として、新しい動画サービス「kadoTV」をリリースしたと発表した。
「kadoTV」は、2008年の情報大航海プロジェクトの成果である、チームラボの実証サービス「サグールテレビ」の技術を基盤とし、あらゆる動画共有サイトの動画検索に加え、複数ユーザーが協力して、動画に対して字幕をつけられる機能を実装。
複数のユーザーが協力してひとつの字幕を編集できる、複数言語の入力に対応、軽快さ、スムーズな操作性などを特徴としている。
その他、キーワードによる動画の検索、字幕の内容検索、音声認識検索、関連動画のレコメンデーション表示、動画同一性検知技術を使い、同じシーンを用いている動画の表示を可能にするなどの機能を備える。
字幕付与技術を用いた字幕サービスの事業の可能性の評価、動画共有サイトにおける違法動画の検知と把握、コンテンツの海外展開、新たなクリエイター獲得の可能性の評価などを目的としたサービスとなっている。
角川グループのクロスメディア事業を統括する角川マーケティングは13日、新しい動画サービス「kadoTV(カドテレビ)」を開始した。
「kadoTV」は、YouTube、AmebaVison、NiftyVideo、Mofile、flipclip、ExciteDogalog、Youkuなど、さまざまな動画共有サイトから動画を検索し、さらに字幕を付与することができるサイト。キーワードによる動画の検索、字幕の内容検索、音声認識検索、関連動画のレコメンデーション表示、動画同一性検知技術を使った同じシーンを使っている動画の表示などの機能が用意されており、「複数のユーザが協力して1つの字幕を編集できる」「複数言語の入力に対応」「Webサイトとは思えないほどの圧倒的な軽快さ、かつスムーズな操作性など使いやすいユーザインターフェイス」といった特長を持つとのこと。字幕の登録や編集には会員登録が必要となる(無料)。
公式サイトということで、「かりん」「ご愁傷さま二ノ宮くん」「ムシウタ」「GIRLSブラボー」「風のスティグマ」「フルメタル・パニック」「H2O 〜FOOTPRINTS IN THE SAND〜」などの作品が紹介されるとともに、角川グループが公開した動画を使った字幕も、すでに多数公開されている。
なお「kadoTV」は、経済産業省が実施する「情報大航海プロジェクト」の一環の事業で、昨年の情報大航海プロジェクトの成果である、チームラボ社の実証サービス「サグールテレビ」の技術を基盤としたものとなっている。そのため角川では、サービスの目的は、字幕付与技術を用いた字幕サービス事業の可能性の評価、動画共有サイトにおける違法動画の検知と把握、コンテンツの海外展開、あらたなクリエイター獲得の可能性の評価としている。また実証サービスであるため、検証期間は2月末までの予定となっている。
吉本興業とグループ会社のベルロックメディア(東京都新宿区)は、ポータル(玄関)サイト「Yahoo!JAPAN」を運営するヤフーと共同で、インターネット動画サービス「myzo(マイゾー)」を開始した。
吉本興業グループが製作するオリジナル動画を中心に構成する無料ポータルサイトで、スポンサードコンテンツと呼ばれる収益の仕組みを盛り込んだのが特徴。メディア広告の新しいモデルとして、注目を集めそうだ。
スポンサードコンテンツとは、スポンサー企業が制作費を負担し、企画段階から企業の意向を反映した動画番組のこと。原則15秒以内のテレビCMに比べ、3分から10分程度と長い時間を費やすことが可能で、物語性のあるユニークな番組が制作できる。
吉本興業上席執行役員で、ベルロックメディア社長の中多広志氏は「従来のメディアとは違う新しい広告動画の販売を行い、課金やCM挿入型の広告モデルとは異なる新しい収益モデルを構築する」と、マイゾーの展開に自信を示す。
◆常時1000以上を蓄積
マイゾーには、吉本グループ製作のお笑い番組や情報番組、ドキュメンタリーなど常時1000以上の動画番組が蓄積されており、無料で視聴できる。一つの番組が終了すると、共通性のある別の番組が再生されるほか、キーワード検索により「お勧め番組」を見ることもできる。
視聴者は興味のある番組を見続けていくうちに、スポンサードコンテンツにたどり着く。「スポンサー企業にとっては自社の商品などに関心のある消費者に番組を見てもらえる確率が高くなる」(中多社長)
スポンサー企業は、番組制作を吉本グループに発注したり、広告会社に依頼することも可能。サイトへの納入は吉本グループが引き受ける。一方、ヤフーは、番組1本で1カ月の配信に付き200万円からの媒体料を受け取る。
◆中堅企業も意欲的
現在、スポンサードコンテンツを提供している企業はインテルやタカラトミーなど約30社。商品や企業名を前面に出したり、キャッチコピーで宣伝するのではなく、番組の中にさりげなく商品や社名を入れたり、タレントが実際に遊ぶ様子を見て商品の使い方が理解できるなど、従来のテレビCMと全く異なる。
「大手の有名企業が、新しい広告媒体として活用するだけでなく、単価が割安なため、中堅企業なども知名度アップのため、工夫を凝らしたコンテンツ製作に意欲的」という。
さらに、吉本興業が提携した、米国の大手タレントエージェンシーであるクリエーティブ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)とも協力する方針。将来はハリウッドスターが出演する動画コンテンツやスポンサードコンテンツなどを配信する計画もある。